社労士試験は過酷…。だからこそ一歩踏み出すことに迷うのは当然
こんにちは。
社労士試験4回目で、平成30年にやっと合格でき、今も現役労務ワーカーの11ぴきのぺんぎんです。
この記事を読み始めてくださった皆さんの中には、
「社労士試験に挑戦中!」
という方もいれば、
「社労士試験に挑戦したい…。でも一歩踏み出せないな…。」
という方、
「そもそも社労士試験って一体どんなものなんだろう…。」
という方もいるかもしれません。
社会保険労務士の資格、毎年約5万人ぐらいの方が受験し、合格率は最近だと6%前後です。
(社労士試験の詳細については、資格の大原のこちらのページにに詳しく掲載されています)
合格率6%というと、単純に計算すると、100人受験して6人しか合格しない試験ということになります。
なので、少し勉強して合格!ということはなかなか厳しく、多くの時間を受験勉強に割かねばならなくなります。
皆さんの中には、日々業務に追われて、毎日それだけで精一杯の方もいらっしゃるでしょう。
または、育児や介護、家事などでなかなか自分の時間を持てない方も多いと思います。
そんな日常の中で、社労士合格を目指して勉強時間をつくることは、簡単なことではありません。
「もう少し寝ていたい…。」という気持ちを奮い立たせ、早朝から勉強を始め、あわただしく準備して会社へ。
「残業疲れた…」から帰ってから勉強。
「子どもがやっと寝た…。」のスキマ時間をぬっての勉強。
「普段これをこなすだけでもギリギリなのに、これ以上できるか…」
そう思うのは、当然で、受験することをためらうのは当然だと思います。
そんなみなさんにむけて、今回は、なぜ私が社労士試験を受験しようと思ったのか、
勉強中や合格後に感じたことはどんなことか、よかったこと、大変だったことを書いてみたいと思います。
この記事が、みなさんの決断の背中を押す、なにかのきっかけになれば嬉しいです。
では、始めます。
なぜ社労士試験を受験をしようと思ったのか
健康保険?と厚生年金保険?なにそれ?からの労務ワーカースタート
私は今の部署に異動するまで、労務には一切興味ももたず、全然関係のない仕事をする部署にいました。
どのくらい労務に興味がなかったかというと、自分の給料明細の内容も一切わからず、興味もありませんでした。
「健康保険」と「厚生年金」ってなにが違うの?っていうくらいのレベルです(-_-;)
そんなある日、労務をする部署に異動となり、何の知識もないまま労務の実務をすることになりました。
異動が決まったときは、
「労務の仕事ができるようになれば転職にも有利かも…(゚∀゚)」
…なんてことをゆるーく考えていた、そんなくらいの感覚でした。
完全になめていますね…。そのあとの地獄も知らずに…。
まさかの1か月後…社会保険の手続き、給料計算などを一人で…
異動したのは3月で、前任の先輩に教えてもらいながら、(正確にはお手伝いレベル)
「労務って忙しいなぁ。前任者のみなさんはこんなにこなしててすごいなぁ」
と思いながら、あっという間に1か月が過ぎました。
そして新年度を迎える直前の3月末、いきなりの悲報が飛び込みます。
「○○先輩(前任者)がケガをして2か月出勤できない」と…。
おりしも新年度開始直前。
労務の経験がある方なら予想がつくかと思いますが、新年度開始時の4月は、労務ワーカにとってやることが盛りだくさんの超繁忙期です。
前年度末での退職者、
新年度からの新入社員の手続き、
年度更新のパート社員さんの雇用条件通知書の発行などなど…。
やらなきゃいけないこと、どれもまったなしです。
そんな中、労務の素人が1人…。
ほかに実務がわかる人はいませんでした。
さすがに見るにみかねて、普段実務をやっていない先輩も一緒に手伝ってくれましたが、結果はミスの連発で散々なものでした。
そんな日々の中で一番怖かったものがあります。
社員からの質問が怖い…
それは「社員のみんなからの質問」です。
「〇〇ってどうしてこうなんですか?」
「○○って支給されるんですか?どうすればいいですか?」
「その根拠は?」
「どこに書いてあるの?」
「法律なの?」「社内規則なの?」
社員のみなさんは、私が異動して間もなかろうと、関係ありません。
あたりまえですよね、私しかいないんだから。
私は、
「…だと思います。」
「わからないので○○(例:ハローワーク)に確認してみてください」
このようなことしか言えませんでした。
そして、心の中ではこういっていたんです。
「私だってただの社員なんだからそんな難しいこと聞かれてもわからないよ!!」って…。
「社会保険労務士」って資格があるらしいよ
そんな日々がずっと続き、自分にも嫌気がさし、会社続けられるかなぁ…と思っていたころ、信頼する先輩がこう言いました。
「社会保険労務士って資格があるらしいよ!
ポンパレ(今はなつかしいクーポンで格安に買えるサイト)に教材ででたよ!意外といけるんじゃない?」
って。
(先輩は労務とは一切関係ない仕事をしていました)
そうして私は社労士試験がかなり厳しい道とも知らず、ポンパレで教材を購入し、受験勉強を始めました。
そこから4年の長い道のりになるとは知らず…。( ;∀;)
私が社労士受験を始めようと思ったきっかけはこんなかんじです。
今でも最初のきっかけをくれた先輩には感謝感謝です。
次に、実際に社労士試験を勉強してみて、よかったこと、大変だったことを書きたいと思います。
社労士の勉強をしてよかったこと
社員からの質問が怖くない!「検索能力」UP!!
社労士の勉強を始めてから、あんなに怖くて嫌だった社員からの質問に、それほどおびえなくてよくなりました。
なぜおびえなくなったかというと、「検索能力」が格段にレベルアップできたからです。
「検索能力」って?
「検索能力…?知識じゃなくて?」
と、思われる方もいるかもしれませんが、この検索能力ってすっごく重要なスキルなんです。
社員から質問があったときに、
それがどの法律のどのあたりに書いてあるか、「アタリ」をつけられるかどうかで解決までの時間が全然違います。
インターネットで検索するにも、手続きのマニュアルのどこに書かれているかを探すにしても、この「アタリ」ってかなり重要です。
私は社労士受験の1年目に、1冊ですべての法令が載っているテキストを購入しました。
資格試験にはあまり使えませんでしたが、今でもキーワードから逆引きしてどこの法令のどの部分に該当する内容があるか探すのに重宝しています。
つまり、…
検索能力があがる
→根拠となる箇所を見つけるスピードがアップする
→自信をもって答えられる
ということがおきたんですね(^^)
労務ワーカーとしての自信がつく!
社員の方から言われたことありませんか?
「私の知り合いがそのへん詳しくて、これはこうじゃなきゃ違うんじゃないかっていうんです」
または、上司の方から言われたことありませんか?
「自分は昔労務をやっていたからわかる!これはおかしい!」
…って。
社労士の勉強をするまでは、そうやって言われると私はすごく不安になったし、自分が間違ってないって自信をもって答えることはできませんでした。
それがとてもくやしかったです。
今はインターネットを検索すればいろんな裏技や情報がでてくる時代です。
ただし、それは正しい情報もあれば、正しくない情報もあります。
また、少し前は正しかった情報も、法律もどんどん変わっていくので、昔の情報が今も正しいとも限らないのです。
社労士の勉強をしてからは、自信をもって答えられることが増え、合格した今では、
「こんなに一生懸命勉強したんだから自信をもっていえる!」
と思えるようになり、やたらと動揺したり、不安になることはほとんどなくなりました。
もちろん自分の知識がすべて正しいという思い込みは絶対にダメなので、わからなければ調べたり、しかるべきところに確認をします。
その中で、そうだったのか!ということももちろんあるので、謙虚さは忘れてはいけないと、自戒する日々でもありますが…。
顧問の社労士の先生に応援してもらえる
私が勤務している会社には、顧問の社労士の先生がいらっしゃいます。
その先生はとても素晴らしい先生で、私が社労士受験をすることをとても喜んで応援してくださいました。
そして合格したときも、本当に喜んでくださって、祝賀会までしてくださいました。
合格後は、顧問の先生から、
「今後、社労士として生きてくなら、今のこの業務は勉強になるよ~」
など、社労士の後輩としてアドバイスをいただける場面も増えました。
そして先生の社労士としての姿勢をみながら、
「こういう社労士になりたい!」
というモチベーションをいただいています。
この労務ワーカー応援ブログの開設のきっかけのひとつに先生の存在があったのですが、それはまた別記事でと考えています。
会社を辞めてもなんとかなる!と思える
会社にしがみつかなくていい
実は今でも「こんな会社辞めてやる!!」と思うことはしょっちゅうあります。笑
社労士の資格をとったから将来安泰というわけではないことは重々承知です。
でも、やっぱり社労士の資格を取得できたことで、
「今の会社に絶対にしがみつかなくてはいけない」と思わなくてよくなったので、嫌なことがあっても、「いざとなったら辞めれるもんね!!」と思えるようになりました(゚∀゚)
ここは私の社労士事務所です…という妄想
社労士合格後、「9フレーム」という本と出会いました。
9フレームについて書いた過去記事はこちらです↓
その9フレームを、社労士開業向けにアレンジしたセミナーが以前開催されました。
私は参加できませんでしたが、ツイッターのフォロワーさんがすばらしいレポ-トをツイートしてくださいました。
そのレポートからヒントをいただき、実践しているモチベーションをあげる方法があります。
それは、会社に出勤するときに、
「私は開業してこのデスクで社労士として仕事をしているんだ!」
と、妄想することです。笑
そうすることで、無理難題をいってくる上司も、
「上司が顧客だとしたら、自分は社労士としてどう対応する…?」
と、少し距離を置いた目線になることができます(゚∀゚)
もちろんそれでも腹がたつとき、やってられないときはありますけどね(;・∀・)
同じ目標をもつ、または達成した仲間と出会える
社労士受験をし、そしてツイッターを始めるまで、私は自分以外の労務ワーカー&社労士受験生と出会ったことはありませんでした。
でも、社労士試験をきっかけにして、多くの労務ワーカーのみなさんのツイートを目にし、
「私だけじゃないんだ…」
と、思えるようになりました。
そして、社労士試験は私にとって、とても過酷なものではありましたが、同じ目標にむかってがんばる人たちと出会えたこと、そして目標を達成した、その後の未来を共有できることは、本当にありがたいことだと感じています。
研修会が何倍も面白く感じる
みなさんも、普段研修会に参加されることは多々あるかと思います。
私は社労士に合格してから、研修会に参加することがより楽しくなりました。
なぜなら、ここでも先ほどの妄想力(笑)で、
「自分が社労士だったらどんな風に講演するかな…。」
と、考えながら受講しているからです。
講演の構成や、資料、伝え方、そしてそこに熱意と愛情があるか、社労士として、受講者にとってどうやったら有益な研修になるか…など、考えながら受講するのはとても楽しいです。
必要な情報のポイントを押さえた内容・資料だったり、講師の先生から労務ワーカーに対する愛情を感じたりすると、
「私もこうなりたい!!」と、テンションがあがります。笑
では次に、反対に社労士試験の勉強をして大変だったことを書きたいと思います。
社労士の勉強をして大変だったこと
お金がかかる
社労士試験を受験するにあたって、どんな教材、どんな方法(通学、通信、独学など)で勉強するかは千差万別で、それにかかる費用も全く異なります。
私は4回受験しましたが、すべて通信でした。
でも、毎年教材(資格スクール)を変え、トータルで教材だけで30万近くかかりました。
もちろん市販のテキストで1発合格!という方でしたら、こんなに費用はかからないと思いますが、勉強を始めるにあたって、お金をどのくらいかけれるかということは重要だと思っています。
また社労士試験の教材については別記事で書けたらと思っていますが、そのあたりに触れた過去ツイートがありますので、参考になれば嬉しいです。
自由になる時間が減る・遊べない
社労士試験は、「少し勉強しました~」ではなかなか太刀打ちできない試験です。
私は受験していた4年間は、主に5月から8月にかけては、友達と遊びにいくこともできるだけ控え、家族にも協力してもらい、できるだけ土日は自宅以外の場所で勉強するようにしていました。
合格までの勉強時間や、仕事の環境、家庭の事情など、こちらも人によって全然違うかと思いますが、勉強を最優先にしたい日々が続きますので、友達や家族にも協力してもらうことが必要になると思います。
個人的には、社労士試験とは関係ない好きな本を読んだり、好きなアーティストのライブにいくことができないこともつらかったです。
不合格のたびに絶望する
これは4回受験した私だからこそ、強く感じることかもしれません。
社労士試験は、「選択式」というものがあり、基本的には1科目につき5問中3問以上正解しないと「基準点割れ」となり、ほかの科目がどんなに高得点でも不合格となる恐ろしい試験です。
(そのための「救済」という制度もありますが…)
しかも「選択式」は、その年によって「そんなの知りっこないじゃん!!」という鬼のような設問が混ざっていることもあります。
だから、社労士試験はどんなに勉強しても、100%合格する!と自信をもって受験することができず、毎年多くの受験生が合格するか確信が持てないまま受験しなければならないところがつらいです。
そして、1点足りなくて不合格となったとき、
「これだけの時間をかけ、いろんなものを犠牲にしてがんばってきたのに、これ以上どうしたら…」
と、絶望的な気持ちになります。
そこからまた来年の試験に向けて、勉強するぞと気持ちを立て直すことはとても大変でした。
結局、どっちなの?
いままで書いてきたことをふまえて、社労士試験をおすすめするか、私なりの考えを書きたいと思います。
まず、社労士試験は万人にはおすすめしません。
なぜなら、努力=結果と必ずしも言えない試験だからです。
でも、労務ワーカーのみなさんに対しては、可能であれば勉強することをおすすめします。
そして、受験をして万が一不合格だった場合は、勉強を再開する前に、
「自分にとって社労士試験は必要か、続ける価値があるのか」
を、真剣に考えてから、次のスタートをきったほうがいいのかなと思っています。
人生の中で、かけることのできる時間や費用は有限であり、必ずしも継続することがその人にとっての最適解とは限らないからです。
迷いながら進むには、受験までの日々はあまりに過酷です。
でも、もし勉強を続けると気持ちを決めたのであれば、あとはひたすら前に進むのみです。
努力が必ずしも報われる試験ではないですが、努力しなければ絶対に合格できないのも事実です。
努力を続けることは、絶対に無駄にはならないはずです。
これからも、応援しています!
まとめ
- 私は労務ワーカーなので、社労士試験を受験してよかった
- でも社労士試験は、時間もお金もかなり費やす可能性がある
- 社労士試験は必ずしも努力が報われるとは限らない
- 社労士試験を受験するか、また継続するかは真剣に自分と向き合ってみよう
- 受験すると決めたら前に進むのみ!応援しています!